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星が教えてくれたもの

森を歩いているとき、ちょっと変わったエンレイソウを見かけました。

エンレイソウの基本構造は、花弁も萼片も3枚ずつで、Trillium《3の(tri)+百合(lilium)》という学名の由来になっています。

そんなオオバナノエンレイソウの中に、明らかに雰囲気が違う花がありました。

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エンレイソウというものを知らなければ普通の花に見えるほど、バランスの取れた姿です。花びらも萼片も5枚、写っていませんが、葉も5枚です。見事な星型!

花弁が2枚しかない花は時々見かけますが、星型は初めて見ました。


何かの間違いで、たまたま今年だけこうなったのか、毎年安定してこの姿でいるのか分かりませんが、植物のパーツの数を決めている要素を考えるのも面白いものです。



そういえばこの花、どっかで見たことあるような…?と思ってましたが、家の庭で気掛かりの原因が解決しました。

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この花にそっくりではないかっ!!

キヌガサソウという花です。
本州の亜高山帯に自生しているようですが、北海道では見られません。オオバナノエンレイソウに似ていますが、葉も花びらも雄しべも10本近くあるので雰囲気が違います。
庭の半日陰地に植えっぱなしですが、確実に増えつつ、毎年咲いてくれます。北海道の気候が合っているみたいです。


分類上、エンレイソウよりはツクバネソウやクルマバツクバネソウに近いようです。


遺伝的にもエンレイソウの仲間とキヌガサソウは親戚みたいな関係なので、森で見た星型のエンレイソウも、特別不思議な事ではないのかもしれませんね。

どちらが先に発生した種類なのか知りませんが、こうやって時々現れる突然変異が、昔は繋がっていた遺伝子の記憶を教えてくれるような気がします。





おまけ

今年もたくさん見られた、シラオイエンレイソウ

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オオバナノエンレイソウとミヤマエンレイソウが自然交雑して生まれた花です。オオバナゆずりの大きな花と、ミヤマゆずりの控えめな雰囲気を併せ持った、美しい花。

大柄でしっかりした質感の系統と、華奢で繊細な質感の系統があるような気がします。同じシラオイエンレイソウでも、染色体数によって2系統に分けられていますが、この辺りには片方の系統しか無かったはず?


こういう交雑個体を見つけると、なぜか嬉しくなります。
虫が花から花へ花粉を運んで、偶然に偶然が重なって生まれたんだろうなぁ、なんて思いを馳せてみるのも楽しいもの。

日本のエンレイソウではありませんが、こんな花もあります。
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トリリウム エレクツム(Trillium erectum)

北米原産の花ですが、花びらが白くないエンレイソウを見ると不思議な感じがします。国内で見られる色付きエンレイソウといえば、どれも交雑で生まれた偶然の産物なので、花の形も、見られる頻度も不安定なのです。

そういえば、この花は実生増殖個体を入手して3年目にして初開花でした。今年で開花3年目になるので、もう5年の付き合いです。

エンレイソウの仲間はめまぐるしく成長するような生き物ではないので、庭に植えると座敷童子みたいな存在になってくれます。いつも変わらず、そこに居てくれる存在っていうのも、あっていいと思うのです。

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