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春霧の函館山

旅の2日目は、函館山に行ってみました。

朝遅く、立待岬から函館山を目指します。


夜半から降り続いた小雨は、昼まで止むことは無く。

函館山は低い雲の中。




深い霧に包まれた誰もいない登山道を、ゆっくりと登っていく。

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日常とは別な世界に迷い込んでしまったような、神聖な雰囲気の中を静かに歩を進める。


時々通り過ぎる車のほか、人の気配は全くなし。

静か過ぎる世界なのに、不思議と気味悪さは感じず、むしろ清浄な何かに包まれているような、本当に奇妙な雰囲気でした。

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崩れる途中に時が止まったような、苔生した石垣。

人が自然を切り崩し、何かを作るように。
自然もまた、人が作ったものを塗り消し、やがては飲み込んでゆくのでしょう。

やがて、函館山の静かな登山道にコジマエンレイソウが、ぽつり、ぽつりと姿を表しはじめ。

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深い小豆色の花弁が、しっとりと雨に映える。

その昔、オオバナノエンレイソウとエンレイソウが交雑して生まれた雑種の、子孫なんだとか。限られた地域の海岸付近の森にしか見られず、分布はサハリンから北日本に点在しているだけ。(内陸にも分布するそうです。strixさんにご指摘頂きました。)

函館山でひっそりと世代を重ねて、何代目になるのだろうか。

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さらに登ると、石垣の苔の中に咲いたヒナスミレが、ひっそりと出迎えてくれる。
石の上に育った苔が、こうして他の植物のゆりかごとなる。

そんな営みも、自然界で当たり前に繰り広げられているけれど、そのサイクルの頂点に立つ生き物の住処が出来上がるまで、長い年月がかかっているんだろうなぁ。

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スミレの中でもうひとつ満開だった、ヒカゲスミレ。
雨の重さでうつむいた花が多くて、正面から姿を見られたのは数輪だけでした。



小さな花の写真を撮った帰り。

見上げると、オオバクロモジの花に蜘蛛の巣が光っていました。
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結局、山の上まで行っても何も見えなかったし、足元が泥だらけになったり、カメラが結露してバグを起こしたり、けっこう散々な登山でした。

でも、霧を捕まえて、いつも以上に透き通って輝く花が見られたのも、深い霧のおかげかも。

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コメント

あんまり公表されてないけど、
コジマは内陸にもありますよ。
やっぱり、局所的に散在という感じですが。

投稿: strix | 2010年5月16日 (日) 21時07分

strixさん>コメントありがとうございます。

コジマエンレイソウは海岸付近固有の要素かと思っていたので、内陸にもあるとは知りませんでした。不思議な分布をする植物ですね。
また一つ、勉強させて頂きました!

投稿: Planter | 2010年5月16日 (日) 23時02分

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