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一日一草 ~シオガマギクの仲間~

半寄生というミステリアスな生態を持つ、シオガマギクの仲間のお話です。

夏に登山に行くと、樹林帯を抜けたあたり~高山草原に、点々と咲くシオガマギクを見ることができます。
まず、この仲間の代表格ヨツバシオガマを。Pict00771
森林限界を超えてしばらく登った頃、強風吹きすさぶ草原にこの花が見えると、「いよいよここまで来たか…」と、本気モードにさせてくれる花です。この仲間全般に言えることですが、環境によって同種でも多少変異が見られます。
礼文島のヨツバシオガマは、花付きも姿もケタ違いに豪華なので変種レブンシオガマとされていますが、まだ花は見たことがありません。道北の山などでは高山というほどの山でなくても見られることがありますが、姿はほっそりした印象の個体が目立ちます。


ヨツバシオガマと並んでよく見られる仲間に、エゾシオガマがあります。P71100331
葉を見ただけでは何の変哲もない草ですが、クリーム色の花を株立ちで咲かせる様子は、ヨツバシオガマとは違った綺麗さがあります。
ある場所にはけっこう群生するんですが、あまり札幌近郊や道南で見たことが無いので、道北・道東系の花のような印象を受けます。



この仲間の独特な花びらを象徴するのが、トモエシオガマ。1
花の咲いている茎を上からみると、「巴」っぽくみえるところから名付けられています。この捻れた花は、どんな生き物をポリネーターにしているのだろう?
ちなみに、写真の右後にエゾシカによる食痕が写っています。
撮影したのは標高1400m近い湿原ですが、こんなところまでシカが侵入しているんだなぁ…と驚いたものです。


最後は、この仲間としてはちょっと異彩を放つキャラ、シベリアシオガマ。1_2
道北の原野に生育するシオガマギクの母種とされていますが、草丈が1メートル近く伸びるうえ、葉の付け根に1輪ずつ、さりげなく花を咲かせるので、あまり存在感のない種類です(笑

生育の場を原野に選んだシベリアシオガマにとって、スゲやイネ科の茂みに埋まってしまわないよう、適応した結果なのでしょうね。高山に残って他の植物との競合から逃れた他種とは、生きるスタイルが違うのも当たり前のことなのだろうか?


シオガマギクの仲間は、氷河期の頃に南まで分布を広げることで氷河から逃げ延び、その後の温暖期には寒く競争相手も少ない高山に逃げ延びた、氷河期の落し物みたいな花です。
半寄生というスタイルもよく解明されていないミステリアスな花ですが、山で見かけたら思いを馳せてみるのも楽しいですね。

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