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一日一草 ~カキツバタ~

「いずれ菖蒲か杜若」
今日も、名前だけは有名な花のお話です。

名前は有名でも、実物を見て分かる人は少ない植物ってたくさんありますが、カキツバタなんて代表格じゃないでしょうか?

あのことわざは、どちらも優れた似たもの同士で、甲乙付けがたいことの例えだそうです。
調べてみるまで、似たもの同士だから大して違わない、みたいな意味かと思っていました…(汗

カキツバタは、初夏の頃に水辺に咲く野生のアヤメの仲間です。
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青紫色の垂れた花弁に、筆で描いたような白線が差し込みます。

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見かけに似合わず、咲いている場所は淀んだ沼地だったりします。排水で汚いという感じではなく、沼のヌシでも棲んでいそうな。

そんな怪しげな場所を探せば、案外と見つけることができます。とはいえ、河川改修や農地開発でそんな場所も減ってしまったので、もはや野生を見ることは難しくなってしまったのが現状ですが…
この写真を撮ったのも、かつて湿原だった場所に造成した農村地帯の側溝です。

人間が生活しやすいように土地を改変するのは、ある程度必要なことですが、カキツバタのように里との関わりで、人間の恩恵を受けて生きてきた種類にとっては、近代化による環境改変は手のひら返しのように思えるかもしれませんね。

野草に限った話ではありませんが、その種類にとって居心地がよければ繁栄し、合わなければ無くなってしまう、2極化の時代のような気がします。


脱線はこのくらいにしておいて、カキツバタとアヤメの違いは何なのでしょう?

まず、カキツバタは根元が沼の水に浸るような場所に生育するかなりの水好きで、アヤメは水場とは縁遠い乾いた草原や岩場などに生えています。

つまり、これだけ知っておくだけでも、野生で見る以上はカキツバタとアヤメを見間違えることは、まず無いということです。
それと、アヤメの語源。古くは「綾目」と書いたようですが、その名のとおり、アヤメの花には黒と黄色が混ざった網目模様が張り巡らされています。花形も幅広く、丸っこい印象をうけます。

カキツバタは、先程書いたように、白く細い線が1本入るだけなので、とても涼やかに見えます。アヤメの仲間の中では、個人的にカキツバタが一番美しいと思います。和服が似合いそうな佇まい、それでいて咲いている場所が沼地というイメージギャップがまた…

そうそう、アヤメ以上にカキツバタと似てるんじゃない?と思う花に、ノハナショウブなる花があります。

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いつだったかブログに載せましたが、こちらはカキツバタより身近に見られるかもしれません。湿原開発後の泥炭地に行くと、あちこちに普通に見られます。時には牧草地などに群落を作っていることも。

ノハナショウブは、園芸種の花菖蒲の生みの親になった原種で、全体的にカキツバタの3分の2くらいのスケールの花です。花弁に入る線が鮮やかな黄色で、花弁の色も濃紫なので、遠目に見ても区別はできます。

ところで、近所の道端で秋に繁殖目的でノハナショウブの種採りをしたことがあったんですが、1センチくらいの歪な円盤型をしていて、水に浮くんです。もしかすると、川の増水や雪解け水にタネを託して、生息地を広げる戦略なのかな?と思いますが、護岸が行き届いて氾濫の心配もなくなったこの時代では、やっぱり生きづらい戦略なのかなぁ?

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