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一日一草 ~モウセンゴケ~

近所でも見られるかもしれない?身近な食虫植物です。

あまり植物に興味がない人は、「日本でも食虫植物が見られるんだよ」と言われると、「そんなバカな!」と思うかもしれません。ハエトリソウやウツボカズラのように、いかにもな雰囲気の種類は無いものの、日本でも意外と身近なところに食虫植物たちは暮らしています。

そのなかでも、モウセンゴケは一番身近で、しかも食虫植物らしい姿をした種類です。平地から亜高山の湿地でよく見られます。本州以南では、湧水のある田んぼの畦で見られることもあるとか。

北海道でも田んぼで見られるのかもしれませんが、湧水があるような場所にある「谷津田」が殆ど無いので、見たことがありません。

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群生していると、こんな風景になります。
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時には、こんなふうにミズゴケに包まれて生えていることも。
好む環境が似ているので一緒に見られることも多いですが、たまにミズゴケの生育が旺盛すぎて埋まり、アップアップしている姿も見られたり(笑


モウセンゴケは、漢字で書くと「毛氈苔」。毛氈を敷き詰めたような苔というニュアンスです。

「毛氈」は、日常生活ではあんまり馴染みのない単語ですが、フェルトの敷物のことを指す単語です。イメージ的にはレッドカーペットを思い浮かべれば良いのかな??
実際には苔ではなく、花も咲かせタネも付ける種子植物ですが、確かに密生しているとカーペットのように見える気もします。

毛氈のように見えるのは、葉からネバネバした消化液を出す腺毛をたくさん出して、それがキラキラ光って見えるためです。虫をバクッと食べたりはしませんが、腺毛に絡まった虫をゆっくり葉で巻きとって消化しています。

湿地だけでなく、時にはこんな火山礫地にも。090805111pict0015
湿原で見られることが多いモウセンゴケですが、火山礫地や赤土が露出した斜面、岸壁などに一面群生していることもあります。実際には、モウセンゴケが湿地を選り好みしているわけではなく、単純に「強酸性で貧栄養、日当たり良好」の条件を満たしていれば、どこでもよく生育できるみたいです。

ちなみに、この辺の条件選択は大半の食虫植物に共通していることです。他の植物との生存競争に追い詰められた結果が、虫を捕まえて、土から摂れない養分を補うという涙ぐましい生存戦略だったのでしょう。本人たちにとっては、好き好んで奇抜な進化を遂げたつもりは無かったんじゃないかと思いますが、この性質が人間の好奇心を惹きつけて栽培されているものも多いことを思えば、予想外の繁栄をしているのかも。

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夏本番に差し掛かる少し前、株の中心から針金のような花茎を伸ばして、小さな梅のような花を1~3個ずつ、順番に咲かせていきます。モウセンゴケに限らず、食虫植物の花は姿に似合わず美しい花を咲かせる種類が多いものです。

花時期には、普段の草丈の3~5倍くらいの長さの茎に花を付けますが、これってもしかすると、花粉を集めに来た虫が間違って食べられないようにっていうモウセンゴケなりの気遣いなのか?(笑

ちなみに、ハエトリソウはモウセンゴケ科に分類されていて、花の姿も良く似ています。モウセンゴケの仲間は、野生ではもっぱらタネで増えていますが、葉っぱ1枚をちぎって湿った培地に置いておけば再生するほど強い生命力を秘めています。



慎ましやかですが、こんなふうに人里近くでも見られる食虫植物はけっこうあります。最近は安定した貧栄養環境が少なくなっているので食虫植物も減少気味ですが、水辺で赤いキラキラを見つけたら、それはモウセンゴケかもしれません。

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