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アジサイは夏の花

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北海道にも、遅い夏がやってきました。

この時期街を歩くと、あちこちに青紫色のアジサイが咲いています。一般的には梅雨時の花として知られているアジサイですが、北海道では夏の盛りに咲く花です。

イラストではよくカタツムリと一緒に描かれているアジサイですが、街中ではカタツムリが干からびるほどの炎天下で、少しくたびれ気味に咲いている姿が目立ちます。


少し足を延ばして森へ出掛けると、野生の姿に出会うことも出来ます。


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北海道で見られる中では最もアジサイらしい姿をした、エゾアジサイです。水気を好むようで、湿った沢筋を歩いていると良くみられます。


白い花をこんもり咲かせるノリウツギも、背丈以上の木になるのでアジサイらしくないですが、れっきとしたアジサイの仲間です。

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こちらはエゾアジサイより乾いた場所にも見られ、林のふちや原野に群生します。枝から採れる粘り気のある液体が和紙の繋ぎに使われたために付いた和名です。枝や根の髄はスポンジ状で簡単に取り除けるため、キセルの柄の材料にもしたのだとか。

更にアジサイらしくない種類に、ツルアジサイというものもあります。

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名前の通りツルを伸ばして、樹木や岩場に這い登ってゆきます。トドマツやカラマツの明るい人工林では、10m以上の高さまで登った見事なツルアジサイが見られることもあります。

花は白く、アジサイらしくお皿のような形に咲きます。


アジサイ属ではないのですが、ツルアジサイそっくりな植物にイワガラミというものもあります。

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ツルアジサイと同じような育ち方をしますが、名前とは裏腹に、岩に絡んでいるイワガラミは滅多に見かけず、ふつうは樹木の幹を這い登ります。もしかすると、地域によっては岩に絡んでいることが多いのかもしれませんが…。


こんなふうに、野生のアジサイのなかには色々な姿形をした種類がありますが、その共通点は、種子を結ぶ両性花と、虫を惹きつけるための装飾花というものがある事です。つまり、蟻や蜂が巣の中で分業をしているのと同じように、花の集まり(花序)の中で、虫を呼ぶ花と、種子を結ぶ花とに分業しているということなのです。

花序の中心に集まっている細かい粒や糸のようなものが両性花で、花びらのようなものが装飾花にあたります。

一方で、街中で見かけるアジサイの多くは、ほとんど全ての花が装飾花に変化してしまっているので、丸い花になっています。園芸品種でも、装飾花と両性花が分かれている品種は、ガクアジサイと呼ばれていますが、ガクアジサイのほうが花のつくりは野生種に近いということです。

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園芸品種のガクアジサイ。


そして、アジサイの仲間は花が終わって果実になっても、ドライフラワーのように形を留め、冬には雪の上を転がってゆきます。

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ツルアジサイの果実も、こんなふうに。
雪山歩きの時に目を楽しませてくれる夏の名残ですが、雪の上を転がりながら、種子を散布したりするのでしょうか? 私たちの目には面白く見える冬枯れの姿ですが、これも野生のアジサイの強かな繁殖戦略なのかもしれません。

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