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果実から花まで

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庭で、茶色い果実が熟してきました。

野山を歩いている人はウバユリの果実を連想するかもしれませんが、春に花を咲かせていた、チューリップの果実です。

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一般的には球根が分かれて(分球といいます)増えるチューリップですが、種子植物である以上、ちゃんと種が出来ます。

種をつくるためには、まず受粉が必要です。

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花を真上から見ると、中心に三角形をしためしべがあり、その周りを6本のおしべが取り囲みます。因みにおしべの色は、品種によって黒っぽいもの、黄色っぽいもの、灰色のものなどいろいろあります。

この花粉を、めしべの先に受粉すれば果実ができ、2ヶ月くらいで種が熟します。
紙のようにペラペラの種子は、冬の低温を経過した後、休眠が破れて芽を出します。

Turkestanica
発芽したばかりのチューリップは、細長い針のような葉を一枚出すだけで、1ヶ月程度で地上部が無くなってしまいます。

そして、翌春また芽を出して、1ヶ月ほどで休眠して…というサイクルを5年くらい繰り返して、やっと花を咲かせるチューリップに成長します。この性質は、冬の降雨が多く、夏は暑くて乾燥する中央アジアや地中海沿岸の気候に適応した結果です。

似たような生育サイクルは、日本の野山に生育し、チューリップと同じユリ科のカタクリやアマナなどに見られ、両者とチューリップがさほど遠くない親戚にあたることをうかがわせます。なお、日本のカタクリやアマナが夏に休眠するのは、乾燥のためと言うよりは、葉を出していても他の植物に覆われて光合成の効率が悪くなるからのようです。

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↑日本の里山で見られるアマナ。かつてはチューリップと同属とされていました。

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球根が開花する大きさまで成長すると、こんなふうに複数の球根をつくるようになります。
大きな球根は翌年開花しますが、それ以外の小さな球根は、1年から数年かけて根気よく育てないと、花が咲きません。

チューリップの実生繁殖は、手間も時間もかかるため、新しい品種を作る目的で行われることがほとんどです。しかし逆に言えば、新しい品種を生み出すためには、現在でも種から育てるしかないとも言えます(分球繁殖でも、たまに突然変異で変わった株が発生することもありますが)。

種から植物を育てるためには、その自生地の環境を熟知していなければうまくいきません。そんな意味では、種からチューリップを育てることは、遠く中央アジアの原産地に想いを馳せるきっかけになるかもしれません。
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野生種チューリップの一種、Tulipa tarda。

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