Time lag 直訳で、「時間差」。
なんで今日はこんなタイトルになったかというと、今日気晴らしに見に行った近所のエンレイソウ自生地で、ちょっとした異変に気付いたからでした。
まずは、普通のエンレイソウ。植物学的にいうエンレイソウは、この種類を指します。
小豆色~黄緑色を帯びたガクが目立つ代わり、花弁はありません。完全に開いた花もありますが、半分くらいの個体は咲き始めです。
一緒に咲いていたシロバナエンレイソウ。ガク片と同程度の長さの、白い花弁を持ちます。
ちょっと可憐な雰囲気。
ん???
エンレイソウを見慣れた方なら、何か違和感を感じられたのではないでしょうか?
なぜエンレイソウとシロバナエンレイソウが同時期に開花しているのか。普通の丘陵林に自生するエンレイソウでは、エンレイソウの方が1週間以上早くに開花するはず。シロバナエンレイソウのほうが遅れて開花するため受粉時期が合わず、混生していても交雑が起こりにくい。
エンレイソウは花弁を持たないため咲き終わりが見分けづらく、一見すると他種と同時に咲いているように見えますが、実際には他種のエンレイソウ類とは少し花期がずれているのです。
この場所も、例年ならシロバナエンレイソウのほうが1週間近く遅れて咲き出していました。なのに何故今年に限って同時に咲き始めたんだろう?
推測ですが、今年の気温上昇のペースの速さが関係しているように思います。4月20日に咲いたサクラ。既に散りかけのエンゴサク……
両方とも、札幌周辺ではゴールデンウィークの風物詩のはずなんですが…
エンレイソウは、開花時期をずらす事で交雑を極力避けてきた歴史があります。海岸沿いの斜面のような、雪解け後すぐに気温上昇が起こる場所では交雑個体も発生したようですが、交雑が多く起こる地域はある程度限られているようです。
雪解け後に間髪入れず気温が25℃まで上がり、同時に咲いてしまった2種のエンレイソウたちは、交雑を起こす可能性が通常よりもずっと高いでしょう。
仮に交雑したとしても、エンレイソウの仲間は種子が地面に落ちてから地上に葉を現すまで1年半、更に開花するまで10年近く、栄養状態によってはそれ以上の長い年月がかかります。
今回のエンレイソウの件が、地球温暖化やら何やらの影響なのか、単なる偶然なのかは僕には全く解りません。
でも、今までとは違った現象が起こったとしても、それが私達の目に見える形で現れるまでには長い時間差が発生するというのは、よく考えると怖い事ではないでしょうか…
本当に怖い事は、気に留めないと解らないような些細な出来事から、じわじわと日常を蝕んでいくものかもしれない。
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